ハシビロコウをモデルにTシャツ制作

・ハシビロコウとは

 滅多に動かない鳥として有名になったハシビロコウは、アフリカ大陸の東部から中部(ケニア・ウガンダ・コンゴの東アフリカ共同体あたりでしょうか)地域にある淡水の沼地に生息しています。羽色は青みかかった灰色で後頭に短い冠羽があり、くちばしが厚く大きな木靴のように見えることから”shoe bill”とも呼ばれています。ペリカン目ハシビロウ科ハシビロウ属に分類される鳥類ですが、当初はコウノトリ目の下位に分類されていたことから、くちばしが広いコウノトリとして漢字では「嘴広鸛」と明記されています。近年のDNA分析によりペリカン目に近いことが分かりました。寿命は30~40年で単独行動を好む夜行性の動物です。繁殖がかなり難しく絶滅危惧種に指定されています。

・デザイン画から

4~6Bの鉛筆でデザイン画を描き色鉛筆で軽く色付けをします。さらにデザイン画をPCに取り込みハシビロコウだけを切り抜きペイントソフトで色味を深めていきます。かなりアナログな技法ですが、下地にある鉛筆などの質感が効果的に表現されるので好んで取り入れています。

・プリント依頼

 デザイン画に色を加えた後、SRGP(カラーファイル)の印刷サイズに適切なDPI数値(約2.54cmに含まれるドット数)を割り出し、Tシャツ一枚から注文が可能な業者に依頼します。仕上がりは1週間ほどでしょうか。さて、オリジナルTシャツが出来上がってきました。プリントに強ばりはなく針を刺すには程よい厚さです。但し、針刺しによる亀裂が生じるので加飾部分を前もって決めておくことがマストになります。刺繍技法としては、日本刺繍の相良縫いやフランス刺繍のフレンチノットステッチなど粒を丸く仕上げる技法があります。ここでは針に糸を2~3回巻きつけてつくる縫製の始終で使う玉結びです。均一な丸粒にならないところを活かして加飾していきます。巻の回数や糸の太さを変えることで緻密さや凹凸感または粗々さなどを表現します。使用する糸の材質はポリエステルです。準備としては、絵画用の木枠に毛足ある綿布ネルやフエルトなどを取り付けます。これは、角枠の上にTシャツを広げて乗せた際にずり落ちないようにするためです。まずは、ハシビロコウの頭部から始めてTシャツ裾側の胴体を締めに加飾していきます。こうすることによって、色味のバランスなど全体像を把握しながら玉結びを加えていくことが出来ます。

・仕上げ

 眼光に鋭さとくちばしの付け根に厚みをだし、後頭の冠羽に張感をさらに青みを帯びた背羽に濃目の灰色を加え胸毛の柔らかさと異なる触感を表現いたしました。仕上げは裏側から玉結びの糸端を整理しアイロンで結び目を締めていきます。タグを貼ってハシビロコウTシャツの完成です。

・おわりに

 ハシビロコウは、単独行動を好み気難しい性格と言われています。だからこそ、あの風貌とともに醸し出す愛嬌のある魅力的な動作は愛好家を虜にしています。今後のハシビロコウにご期待いただけますでしょうか。それでは、またのご依頼をお待ちしております。